予測を高度利用する社会へ
このサイトは、千葉大学・環境予測科学研究室が主導する研究プロジェクトを紹介するサイトです。
現在は、ムーンショット型研究開発事業における目標8「2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現」の研究開発プロジェクトを行っています。
ムーンショット型研究では、気象制御の意思決定のボトルネックである制御効果最大化の議論を可能とするべく、「気象制御にかかるコスト」と「気象制御による被害低減効果」の定量化技術を開発しています。激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会の実現に向けて、気象・数理・情報・産業界の連携チームで取り組んでいます。
また「制御・設計」をデザインできる技術が得られた時、我々はその技術が社会実装可能なように、倫理・法・社会問題の研究も進める必要があります。このような人文社会研究と、理学・工学的アプローチによる災害予測・制御研究との文理横断研究を進めていきます。
経験科学は3期のパラダイム、観察科学→理論科学→計算科学を経て発展し、現在は第4のパラダイム・データ駆動科学の時代と呼ばれています。
気象をはじめとする地球環境分野においては、他の経験科学分野と同様に、観察と理論が両輪となり、知識の深化がなされてきました。
計算機の発達してきた2000年以降は数値シミュレーション全盛の時代が到来し、気象・流出を扱う数値モデルが多く開発され、降水・洪水・浸水などの数値計算技術が確立されてきました。その後、データ同化が数値モデルと実測データを最適に繋ぐ手法として現れ、特に数値天気予報において高度化を遂げました。しかしながら、気候変動の影響に伴う気象・水災害の激化により、我々には「地球環境が予測可能な社会」に留まらず、「予測の高度利用により被害を低減できる社会」が必要となっています。
環境予測科学研究室では、従来の「環境予測技術の深化」に留まらず、気象・災害の制御や費用対効果の高い観測網の設計など、予測を高度利用する社会(A World Beyond Predictions) の創成に挑戦しています。