ムーンショット型研究開発

よくあるご質問

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気象制御研究について

なぜ気象制御を研究する必要があるのですか?
日本では集中豪雨による被害が年々深刻化しているためです。
今後も気候変動の影響で、
1. 線状降水帯
2. ゲリラ豪雨
3. 河川氾濫
4. 土砂災害
などが増えると予測されています。
ダムや堤防などの対策は今後も重要ですが、それだけでは対応が難しい状況もあるため、新しい防災技術の可能性を研究しています。

私たちAMAGOIプロジェクトについて

AMAGOIプロジェクトとは何ですか?
内閣府「ムーンショット目標8」の研究プロジェクトの一つです。
「ムーンショット目標8」では、台風や豪雨の強度・タイミング・発生範囲などを人工的に変化させることで、極端風水害の脅威から解放された社会の実現を目指しています。
その中でAMAGOIプロジェクトは、集中豪雨被害の軽減を目指して気象制御の研究を行っています。気象学やAI、社会科学などの研究者が連携して研究を進めています。
現在は、
1. 海上で雨を降らせ、陸に流れ込む水蒸気を減らす
2. 雨の降り方を分散させる
などの方法を研究しています。ダムや堤防などの従来の防災対策を補完する、新しい防災技術の可能性を探る取り組みとなります。

関連ページ:コア研究について
気象制御で天気を思い通りに操れますか?
いいえ。例えば、線状降水帯や積乱雲は、非常に巨大なエネルギーを持つ自然現象です。
人間が巨大なエネルギーで気象を思い通りに制御するのは、ほぼ不可能と考えています。

一方で、雨の降り方を少し変えたり、被害を軽減できる可能性は十分にあると考えています。例えば雨が降る場所を分散させるなど、「限定的な影響」を与えることが可能か、現在調べています。
また、気象現象のカオス性(わずかな変化が大きな違いにつながる性質)を活かして、小さな働きかけで集中豪雨による被害の軽減につなげようとしています。
「人工的に雨を降らせる」ことが可能なのですか?
気象改変による人工降雨自体は、世界的には広く実施されています。
ただ、その技術を集中豪雨など風水害の緩和につなげようというのは、世界的にも新しい取り組みです。
現在、AMAGOIプロジェクトでは、雲の中で何が起きていて、気象改変によりどのように変化するのかを理解するための基礎研究・予備実験を進めています。
気象を制御する方法は?
主に2つの方法を研究しています。
1. シーディング
飛行機やドローンからドライアイスなどを散布し、雲の中で氷や雨の粒を作って雨や雪を促す方法です。
すでに世界では渇水対策などで実施例があります。
2. 洋上ドーム
海の上に大型構造物を設置し、上昇気流を人工的に作って海上で雨を降らせる構想です。
陸に流れ込む水蒸気を減らし、豪雨を緩和する可能性をシミュレーションで研究しています。
気象制御に不安を感じる人もいるのでは?
そのような懸念があることは認識しています。気象は広い範囲で影響し合うため、安全性や他地域への影響などについて慎重な検討が必要です。

また、技術的な課題だけでなく、「社会に受け入れられるか」という点も大きな課題です。
そのためAMAGOIプロジェクトでは、社会との対話や合意形成も重視して取り組んでいます。
プロジェクトには、技術開発を行う気象学や工学の研究者だけでなく、倫理学・法学・科学社会学など人文社会科学分野の研究者も参画しています。
こうした研究者は、プロジェクトにおいて「ブレーキ役」としての役割も担っています。科学技術の研究開発を加速する中で生じうる課題を早い段階から検討し、プロジェクト内で必要な対策を講じる体制を整えています。

人工降水(降雪・降雨)実験について

シーディングとはどのような技術ですか?
飛行機などからドライアイスなどを散布し、雲の中で氷や雨の粒を作って雨や雪を促す方法です。すでに世界では、渇水対策などを目的に実施例があります。

現在はドライアイスを散布物質として研究していますが、液体炭酸ガスを用いた実験も予定されています。また、世界的には、シーディングにはヨウ化銀などを用いる方法もよく利用されています。
AMAGOIプロジェクトでもさまざまな手法を検討していますが、気象改変効果だけではなく、環境への影響にも配慮しながら研究を進めています。
2026年1月の実験(富山湾)では何をしたのですか?
富山湾上空で、飛行機から少量のドライアイスを散布する予備実験を行いました。
これは、実際に気象を制御する段階ではなく、
1. 雲がどのように変化するか
2. 氷の粒(氷晶)がどう作られるか
3. 安全に実験を実施・観測できるか
などを確認するための基礎的な実験です。将来的な技術開発に向けて、まずは小さな規模でデータや知見を集めることを目的として行いました。2026年度以降に、本格的な実験を進めていく計画です。

なお、ドライアイスは二酸化炭素を固体にしたものですが、2026年1月の富山湾実験で使用した量は非常に少量です。また、上空で撒いたドライアイスは落下中に昇華して地上に届きませんので、現時点では環境への影響は極めて小さいと考えています。

関連ページ:実証実験について説明会資料
今後の人工降水実験計画は?
現在は、計算機シミュレーションから実際の野外実験へと研究段階が進んでいます。
今後は、冬の実験で得られた知見を活用しながら、夏の積乱雲や線状降水帯を対象とした研究へ発展させることを目指しています。

そのほかの研究開発要素について

高度な気象予測に使われている「データ同化」とは何ですか?
データ同化とは、観測データと天気予報モデルを組み合わせる技術です。
例えば、予報モデルの計算結果と実際の観測結果に違いがある場合、その違いを取り込んで予報を修正します。天気予報の精度向上に欠かせない技術です。
気象制御には必須の技術であり、AMAGOIプロジェクトでも力を入れて研究開発に取り組んでいます。
AIによって気象予報がどう変わりますか?
AIにより、天気予報はより速く、より高精度になると期待されています。
例えば、短時間で多数の予測を計算したり、豪雨リスクを確率的に予測したりすることが可能になります。また、詳細な雲・雨の変化など、従来の天気予報モデルでは再現できなかった現象の予測精度が上がると期待されます。
私たちもAIの力に期待しており、特に精緻な気象予測の実現に向けて、AI開発にも取り組んでいます。

関連ページ:AI天気予報に関するFAQ(千葉大学 国際高等研究基幹 環境予測科学 小槻・岡﨑研究室Webサイト)

「人工降雪に係る予備実験」説明会での質問(2025年)

今回のシーディング実験に使用されるドライアイス散布の影響や安全性について知りたいです。海域・陸域に影響を与えませんか?
海の上空、陸の上空を想定した場合、どちらの散布においても海域・陸域への影響はありません。ご安心ください。
<海の上空の場合>
今回のシーディング実験では直径3ミリ、長さ6~10ミリのドライアイスペレットを散布する計画です。計画の高度約3000mからドライアイスペレットを散布した場合、平均落下速度の予想値は約5m/秒であり、海域に到着する予想の約10分後には昇華し消滅するため、危険性はありません。
加えて、ドライアイスペレットの散布に関しては事前に屋内実験も実施しており(約20mの高さから散布)、地上にいる観測者の頭にあたるなど危険は確認されませんでした。そのため漁業などに従事されている方々への影響はありません。また、陸域へは散布予定域から10kmほど離れているため、海上で局所的に雨が強まったとしても、その雨が陸地に到達する事はありません。

<陸の上空で散布した場合>
上空に雲がない晴天でのドライアイス散布を予定しています。この場合もドライアイスペレットは地上に着く前に昇華し消滅するため、散布の周辺域への影響はありません。
今回のシーディング実験で想定される危険性はありますか?
本プロジェクトには気象学を専門とする研究者が多数参加していて、想定されるデメリットやリスクを事前に検討し、安全性を確認した上で実施する予定です。そのため、特段の危険性はないと考えています。また、富山地方気象台と意見交換を行い、第三者的・専門的な立場から「現時点では危険性がない」との見解を得ています。
ただ、「デメリットやリスクが全くない」ことを科学的に証明することは極めて困難ですが、過去の実験(気象庁気象研究所による人工降雨実験など)を精査する限り、生態系への影響は確認されていませんでした。今回のシーディング実験はムーンショット型研究開発事業のプログラムからの承認を得て進めていて、環境アセスメントの観点から多様な立場の専門家の意見も踏まえながら慎重に進めているところです。
大気中という閉鎖空間がない中で、他地域への影響は考えられますか?
今回のシーディング実験では、シーディングを実施する場所以外への統計的な影響は現れないと考えています。過去の実施結果からも、影響が広範囲に及ぶことはないと予想しています。
この実験を実施するにあたって、特別な許可をとっていますか?
日本には今回のようなシーティング実験を許認可する法律は、ありません。したがって、今回の実験でも法的な許認可の手続きは行なっていません。
しかし、本プロジェクトでは、富山県や新潟県、関係市町村にも予備的な説明を実施し、専門家による審査を経ながら実施に向けて準備しています。加えて、丁寧な市民説明会等を実施して、市民からの理解を得ることが極めて重要と考えています。市民説明会でいただいた意見やご指摘を、実験の実施に反映していく方針です。
また、関係機関との連携を重視していて、富山地方気象台、富山県や新潟県、航空自衛隊、海上保安庁などとの連絡体制を整えています。
以前実施された人工降雨のプロジェクトに関する市民説明会には、どのような市民や団体が参加していましたか? 一般市民も参加していたのでしょうか?
他の組織での実験であったこともあり全体の詳細な把握はできていませんが、市民の方々も含めて実施したようです。
本プロジェクトとしては、今後も実験に関係される方々をはじめ、漁業や農業関係者の皆さまにも丁寧に説明を行っていきたいと考えています。
過去に群馬県や新潟県で実施された降雪実験の内容や、結果を知ることはできますか?
文献として公開されています(有料)。
 気象研究ノート 第231号「人工降雨・降雪研究の最前線」(日本気象学会)。
この実験では、一冬を通じてドライアイスを散布した場合、平均で約20%、瞬間的には最大30%の降水増加が見込まれたと報告されています。
ただし、今回の実験で実施する予定の1~2回の散布ではこのような効果は得られません。
実験の周知方法として、県や自治体の広報誌などでの告知を検討していますか?
現在、JST(科学技術振興機構)と連携し、以下のプロセスで広報を進めています。
利害関係のある方々への説明を最初に実施し、その上で国立研究開発法人科学技術振興機構の承認を得ながら実験を進めます。その後、報道機関への周知を含め、懸念やご意見を丁寧に拾い上げていきます。今後、より広い範囲に広報していく時に、地方自治体の広報誌などへの掲載なども含めて検討する予定です。
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